みなさんは、「努力するにもさまざまなタイプがある」という話を聞いたことがあるでしょうか。すぐに着手して短期決戦型で取り組むのが得意な人、計画的にコツコツ続けるのが得意な人、楽しさを感じないとモチベーションが続かない人……。私たちは一人ひとり違った“努力のスタイル”を持っているにもかかわらず、学校の課題や勉強では「画一的なやり方」が求められがちです。その結果、「自分に合わないやり方」を押し付けられて苦手意識を持つ学生が増えてしまうこともあります。
そこでおすすめしたいのが、「自由課題」を与えて学生自身に取り組み方を試行錯誤してもらうという方法です。今回は、この自由課題のメリットや具体的な進め方を、「努力スタイル」に気づいてもらうためのポイントとあわせてご紹介します。
1.努力スタイルを理解する重要性
まずは、なぜ「努力スタイル」の理解が大切なのでしょうか。
学校や学習塾では、確立された勉強法や手順が提示されることが多いです。もちろん、基本的な手順を学ぶのは大切ですが、そこに縛られすぎると「自分はこうしなきゃダメ」と思い込んでしまいがち。実際には、一気に仕上げたほうが得意な子もいれば、短いスパンで締め切りを刻んだほうが動きやすい子もいます。さらに、「興味が湧かないと手をつけられない」タイプもあれば、「誰かにタスクを細かく割り振ってもらうと楽になる」タイプも存在します。
しかし、これらの“自分の傾向”に気づく機会がないまま、ただ教師や大人の指示に従っているだけでは、苦手意識ばかりが募ってしまう可能性があります。そこで、「まずは自分に合う・合わないを実験しながら探ってほしい」という意図で、学生自身に裁量を与える自由課題を設定してみるわけです。
2.自由課題を与えるメリット
(1) 自主性の喚起
自由度の高い課題を提示されると、多くの学生は最初「何をすればいいの?」と戸惑うかもしれません。しかし、だからこそ自分でテーマを決め、進め方を考える過程で、主体的に取り組む意識が生まれやすくなります。これは将来的に、自ら仕事の優先順位やスケジュールを組み立てる力の土台となります。
(2) 試行錯誤を通じた「失敗」の学習
自由課題では、スケジュール管理のミスやモチベーション低下など、さまざまな“つまずき”が起こります。期限を途中で設定する子もいれば、いきなり最後にまとめて仕上げようとして慌てる子もいるでしょう。こうした「小さな失敗」は、努力スタイルの実験としてとらえるのがポイントです。失敗した過程を振り返ることで、自分に合うやり方・合わないやり方をリアルに体感できます。
(3) 発表や共有による多角的な気づき
自由課題が仕上がったら、クラス内で互いの成果やプロセスを共有する時間を設けるのもおすすめです。「短期集中型でやり遂げた」「少しずつ作業を進める工夫をした」など、人によって成果に至るプロセスは十人十色。互いの取り組みを知ることで、「あの子はこんな方法が合うんだ」「自分はこっちが合っていそうだな」と、新しいヒントを得られます。
3.自由課題を活用する実践ステップ
ステップ(1) テーマ設定
最初に、学生に「自分が興味を持てるテーマ」を自由に選んでもらいましょう。
• 例:好きな本の感想レポート、調べ学習、オリジナルの工作や作品づくり、プチ研究など
ここで大事なのは、生徒が本当に面白そうだと思うかどうか。多少の制約はあってもよいですが、なるべく生徒の関心が動きやすいテーマを選べるよう配慮すると取り組みやすくなります。
ステップ(2) 期限や進め方の方針を決める
• 最終的な提出締め切りは決める
ただし、その過程は生徒自身に任せましょう。毎週少しずつ進めるのもよし、一気に仕上げるのもよし。
• 自分なりの“ルール”設定
「1日30分だけ集中する」「1週間で大まかな骨組みを作り、2週間目に詳細を詰める」など、個々の学生が自分の得意なスタイルを考えられるように促します。指導者は「こうやったらやりやすい人もいるよ」「こんな進め方をすると息切れしにくい」などのヒントは出しつつ、決め手はあくまで生徒に委ねてあげるのがコツです。
ステップ(3) 定期的に「途中振り返り」を実施
進める過程で、数回のチェックポイントを設けます。このとき、提出物の出来だけでなく、**「どんな進め方をしているか」**を振り返るようにしましょう。
• 例:チェックシートや簡単な振り返り日記を用意し、以下のような質問を毎回書かせる
• 今回どんな進め方を試している?
• うまくいっているところは?
• どこに苦戦している?
• 次は何を変えたり工夫したりしてみたい?
こうした“プロセスの棚卸し”をすると、「一気にやろうとしたけれど、まだ時間配分がうまくいかない」「思いのほかコツコツやるのが苦じゃない」などの発見が自然に出てきます。
ステップ(4) 最終成果の発表と“プロセスレポート”
自由課題が仕上がったら、成果物を発表するとともに、どんな進め方をしたかを全員で共有する時間を作りましょう。ここでは、完成度だけでなく「どんな計画を立て、途中でどう修正したか」などの具体的なエピソードを語ってもらうと、まわりのクラスメイトにも学びが広がります。
• 「一気に仕上げたタイプがいたら、そのメリット・デメリットは何だったか」
• 「細かく締め切りを区切る人は、モチベーションをどんな方法で保ったのか」
こうしたやり取りによって、「なるほど、自分にもあの方法が合いそうだな」「自分はむしろこういう工夫をしたほうがいいかも」といった多角的な気づきを得られるのです。
4.学生に気づきを与えるためのポイント
1. 評価は“プロセス”にも目を向ける
成果物のクオリティだけではなく、取り組み過程での工夫や、失敗した後のリカバリーにも目を配ります。「よく考えてチャレンジした」「途中で計画を修正する柔軟性があった」といった点をポジティブに評価すると、学生は「方法を工夫することそのものが大事なんだ」と理解し、努力スタイルを意識しやすくなります。
2. 大小さまざまな締め切りを例示する
自由課題とはいえ、まったく期限がないと逆に進め方が分からない学生もいるので、途中の“仮締め切り”の設定例を示すとよいでしょう。ただしあくまで「一例」であり、最終的な調整は各自に任せることで、自立した計画力を養います。
3. 楽しさが必要な子、ルールが必要な子がいることを伝える
あらかじめ「いろんなタイプがあるから、自分なりの方法を試そう」と言っておくと、生徒は「自分はどっち寄りだろう」と考え始めます。楽しみやご褒美を自分で設定して動機づけを図る子、細かい指示があるほうが動きやすい子、それぞれが自分に合った段取りを組めるようサポートしましょう。
5.まとめ:体験を通じて自分なりの努力スタイルを発見しよう
「努力」と一口にいっても、やり方はさまざまです。短期決戦向きの人もいれば、長期間にわたって少しずつ取り組むほうが得意な人もいます。自由課題のメリットは、それらのやり方を自分で工夫しながら試せること。そして、その過程で生じる成功・失敗のすべてが「自分にはこんなペースが合う」「こういう壁があると止まってしまう」という発見に直結します。
これは単に学校での宿題やテスト勉強だけでなく、将来の社会人生活にも大いに役立つ力です。仕事の進め方はどこに就職しても一定ではなく、多様な業務に合わせて「自分に合ったやり方」をその都度組み立てる必要があります。もし学生のうちに、自分の強みや苦手な点、モチベーションの源泉などを知っていれば、大人になってからも柔軟に対応できるはずです。
「もっと効率よく取り組める方法があるのでは?」「このやり方は意外と自分に合わないな」といった“気づき”を自力で得てもらうために、ぜひ自由課題×振り返りの仕組みを取り入れてみてください。結果として、「努力が上手な人」に近づく一歩になるはずです。
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