「殺人スズメバチ」根絶成功!アメリカの5年に及ぶ駆除作戦の全貌

アメリカ合衆国で「殺人スズメバチ」とも呼ばれるオオスズメバチ(Vespa mandarinia)の根絶に成功したというニュースが報じられました。この危険な外来種の駆除には5年の歳月と、政府機関・科学者・地域住民の協力が必要でした。本記事では、オオスズメバチの脅威、アメリカへの侵入経路、そしてどのように駆除が行われたのかを詳しく解説します。

オオスズメバチとは?その脅威とは?

オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、体長は最大5cmにも達します。アジア、特に日本や中国に生息しており、強力な毒針と顎を持つことから、英語圏では**「Murder Hornet(殺人スズメバチ)」**と呼ばれています。

特に問題視されるのは、ミツバチへの壊滅的な影響です。オオスズメバチは、巣を見つけると大量に襲撃し、ミツバチの群れを短時間で全滅させることができます。農作物の受粉に不可欠なミツバチが減少すると、農業に深刻な影響を与えるため、アメリカでは国家レベルでの対策が必要と判断されました。

アメリカへの侵入:2019年に初確認

2019年8月、カナダのブリティッシュ・コロンビア州で最初のオオスズメバチが発見されました。そして同年12月、アメリカ・ワシントン州でも生息が確認され、アメリカ本土への侵入が明らかになりました。

どのように侵入したのか?

オオスズメバチは主に貨物コンテナや植木鉢などに紛れ込んで運ばれたと推測されています。DNA分析の結果、カナダとアメリカで見つかった個体は別のルートで侵入したと考えられています。

このままでは、繁殖して北米全土に広がる危険性があるため、アメリカ農務省(USDA)とワシントン州農務省(WSDA)はただちに駆除作戦を開始しました。

根絶に向けた5年間の駆除作戦

1. 捕獲と追跡による巣の特定

オオスズメバチの巣を特定するため、専門家たちは最新技術を駆使しました。

• 捕獲したオオスズメバチに小型の発信器を取り付けて放し、その移動を追跡。

• この方法によって、2020年10月にワシントン州ブレイン市内で最初の巣を発見。

なぜ発信器を使ったのか?

オオスズメバチの巣は地中や木の中に隠されているため、単純な目視では発見が困難だったからです。発信器を取り付けた個体の動きを追うことで、効率的に巣の場所を突き止めることができました。

2. 巣の駆除作業

巣が特定されると、駆除チームは以下の方法でオオスズメバチを根絶しました。

1. 巣の封鎖:入口をセロハンや気泡パッドでふさぎ、脱出を防止。

2. 真空ホースで吸引:外へ出てきたスズメバチを掃除機のような装置で吸い込む。

3. 二酸化炭素注入:巣の中に二酸化炭素を注入し、残った個体を窒息させる。

この作業は約3時間半かかり、慎重に実行されました。

3. 地域住民との協力

オオスズメバチの早期発見と駆除には、地域住民の協力が不可欠でした。

• 住民たちにトラップ設置を依頼し、オオスズメバチが発見された場合は速やかに当局に通報する体制を整えました。

• 実際に、住民の報告が駆除作戦の大きな助けとなり、巣の特定がスムーズに進んだケースもありました。

ついに根絶成功!2024年12月の発表

2024年12月18日、アメリカ農務省(USDA)とワシントン州農務省(WSDA)は、オオスズメバチの根絶に成功したと発表しました。

なぜ根絶と判断したのか?

• 2021年以降、新たな個体は発見されていない。

• 2020年~2021年にかけて発見された4つの巣が完全に駆除された。

• 広範囲にわたるモニタリング調査でもオオスズメバチの兆候は見られなかった。

この結果を受け、アメリカ政府は「オオスズメバチの侵入は防がれた」として、正式に根絶宣言を行いました。

今回の成功が持つ意義

オオスズメバチの根絶は、単なる害虫駆除以上の意味を持っています。

1. 生態系の保護:ミツバチを脅かす外来種がいなくなったことで、受粉に依存する農業が守られる。

2. 科学技術の進化:小型発信器を使った追跡技術は、他の外来種の駆除にも応用できる。

3. 地域住民との協力の重要性:市民参加型のモニタリングが、外来種対策の成功モデルとなった。

今後の課題と警戒すべきポイント

一度は根絶に成功しましたが、再侵入のリスクは依然として存在します。

• 国際貿易の増加により、他国から再び持ち込まれる可能性がある。

• 定期的な監視とモニタリング体制の維持が必要。

• 他の外来種の侵入にも警戒し、早期対応できる体制を強化。

まとめ:成功したが油断は禁物

アメリカでの「殺人スズメバチ」根絶は、大規模な政府の取り組み、最新技術の活用、そして地域住民の協力があったからこそ実現しました。しかし、世界的な貿易や物流の発達により、今後も外来種の侵入リスクは続きます。

この成功を一つのモデルとして、持続可能な生態系の維持に向けた取り組みを強化していく必要があるでしょう。

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