DeNAのAI活用戦略:単なる人員削減ではなく、未来への投資

2025年2月5日に開催されたAIイベント「DeNA×AI Day」において、DeNAの南場智子会長が生成AIの活用についての考えを示しました。この発表は、単なる業務効率化やコスト削減を目的としたものではなく、AIを活用して業務を最適化し、その結果生まれたリソースを新規事業に振り向けるという戦略が明確になりました。

今回の発表では、「AIの活用によって現場の人員を半分に減らし、残る半分を新規事業に投入する」という方針が示されました。この発言だけを聞くと、一見するとAIによる人員削減と捉えられがちですが、実際には「リストラ」ではなく、「業務の効率化によって得た余剰人材を新たな成長分野へシフトさせる」ことが目的であることが分かります。

DeNAが取り組むAIの活用は、単なるコスト削減のためではなく、企業の成長戦略の一環として位置づけられています。本記事では、DeNAのAI活用の実態と、それが企業経営にどのような影響を及ぼしているのかを深掘りしていきます。

1. DeNAが活用するAIツール一覧

南場会長は、日々の業務でAIツールをフル活用していることを明かしました。具体的には、以下のようなツールを使っているとのことです。

1.1 Perplexity AI – 商談相手の情報検索

AIによる情報検索サービス「Perplexity AI」を活用し、初めて話す相手の直近の発言や活動内容を把握。これにより、商談前に相手の興味関心を素早くキャッチアップし、より質の高い対話が可能になります。

1.2 NotebookLM – 動画や記事の要約

GoogleのAIメモツール「NotebookLM」を活用し、Web記事や動画の内容を自動要約。大量の情報を効率的に処理し、重要なポイントを短時間で把握するのに役立てています。

1.3 Circleback – 会議の議事録作成

会議の議事録作成には「Circleback」を活用。AIが自動で会議内容を記録し、発言内容の整理や要点の抽出を行うことで、後の業務に役立てることができます。

1.4 Deep Research – 投資判断

投資の意思決定には「Deep Research」を使用。AIが市場データや過去のトレンドを分析し、より的確な投資判断を支援する仕組みとなっています。

1.5 Create / Cursor / Devin – 開発支援

開発業務には「Create」「Cursor」「Devin」といったAIツールを導入し、コードの自動生成やデバッグの効率化を実現。これにより、開発のスピードを向上させ、より高品質なプロダクトの開発が可能になっています。

このように、DeNAはAIを単なる補助的なツールではなく、業務の中核に組み込んでいるのが特徴です。

2. AIによる「効率化」と「成長投資」のバランス

2.1 AI活用による業務の最適化

南場会長が示した「AIによって現場の人員を半分に減らす」という発言は、単純なリストラとは異なります。ここでのポイントは、AIが業務を効率化し、従来の手作業で行っていた業務を自動化することで、人のリソースをより価値のある仕事に再配置するという点にあります。

具体的には、AIが自動化できる業務(情報収集、データ分析、文書作成、議事録作成など)はAIに任せ、人間はより創造的で戦略的な業務に注力する。これにより、人材の生産性が向上し、企業全体の競争力が強化されるのです。

2.2 余剰リソースの新規事業への投資

効率化によって生まれたリソースをどのように活用するのかが、DeNAの戦略の核心部分です。南場会長は、「削減した人員の半分は新規事業に投入する」と明言しており、これは短期的なコストカットではなく、長期的な成長のための投資であることを示しています。

AIによって生み出された余剰リソースを、新たな事業領域の開拓やイノベーションに振り向けることで、新しい収益源を確保し、企業全体の成長を加速させる。これは、単なる「AIによる省人化」ではなく、「AIによる企業の成長戦略」として非常に重要な視点です。

3. DeNAの決算から見るAI活用の成果

実際に、DeNAの2025年3月期第3四半期決算を見ると、AIを活用した業務の効率化が利益率の向上に大きく寄与していることがわかります。

• 売上収益:1,167億円(前年同期比+12.1%)

• 営業利益:209億円(前年同期の赤字276億円から黒字転換)

• ゲーム事業の売上収益:505億円(前年同期比+29.4%)

• 販管費:417億円(前年同期比-9.7%)

• 売上原価:535億円(前年同期比-6.8%)

特に、売上は増加しているのに、売上原価と販管費は減少しているのがポイント。これは、AIを活用した業務効率化の成果が明確に表れていると考えられます。

4. DeNAのAI戦略が示す未来

DeNAのAI活用の方向性は、今後の日本企業にとって重要な示唆を与えます。

4.1 AIは「人を減らす」ものではなく、「価値を生み出す」もの

多くの企業が「AI導入=人員削減」と考えがちですが、DeNAの戦略はその逆です。AIを活用して生産性を向上させ、その分のリソースを新規事業に投資することで、企業全体の成長を目指しています。

4.2 企業トップがAIを活用することの重要性

南場会長自身がAIをフル活用していることで、組織全体にAI活用の文化が浸透していることが、DeNAの強みとなっています。経営者が率先してAIを活用することで、企業の変革が加速するのです。

5. まとめ

DeNAのAI戦略は、単なるコスト削減ではなく、AIを活用して業務を最適化し、その結果生まれたリソースを新規事業に投資するという成長戦略の一環です。このアプローチは、今後の企業経営において極めて重要な考え方となるでしょう。

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