北海道・積丹町副議長問題に見る「地域防衛の限界」

北海道・積丹町の副議長による、クマ駆除の現場での暴言騒動。

ニュースとしては流れ去った出来事かもしれないが、問題の本質は「発言」ではなく 地域防衛の根幹が破壊されたことにある。

■ 住民の命は“紙一重の運用”で守られている

クマが出たら役場が銃を持って駆除に来るわけじゃない。

警察の特殊部隊が常駐してるわけでもない。

現実を守っているのは——

日常生活を捨てて駆けつける猟友会 弾代も移動費も装備維持も自腹で持つ人もいる 家庭を背負ったまま“死ぬ可能性のある現場”に踏み込む人たち

つまり、住民の安全は

たった数人の“技術と覚悟の継承者”に依存している。

政治家や行政の机上の計画とは別の場所で、命の最前線が存在している。

■ そこに噛みついた「副議長」

そんな現場に対して副議長は

「人数が多すぎる」

「金目当てだろ」

と発言したと報じられた。

これは単なる失言ではなく——

技術継承者・実行者・命の盾に向けられた侮辱だ。

その発言をきっかけに猟友会は町からの出動要請を拒否。

結果、積丹町はクマが出る地域でありながら、防衛体制が空白となった。

■ “市役所に任せればいい”という幻想

副議長の行動が「無能」と言われる理由は、

暴言そのものより 現場への理解がゼロだったこと。

もし現場に不満があるなら

そもそも市役所が駆除技術を持つ体制を作れ 市民防衛が行政だけで賄えるよう教育しろ 予算と制度を整えてから口を出せ

そういう話だ。

何も整えていないのに、唯一機能している“命の最前線”に噛みついた。

これでは能力不足と言われても仕方ない。

■ 僕自身も無能だと思っている

ここまで書いているけど、正直言えば

僕自身も無能だと思っている。

銃も撃てない。

クマの動線も読めない。

人命を背負って地域に走れるわけでもない。

だからこそ——

できる人に敬意を払わなきゃいけない。

自分が無能だと分かっているなら、現場の足を引っ張るなんて絶対にしない。

今回の副議長のやったことは、この“最低限の自覚”すら欠けていた。

■ 根本の問題は「技術継承の断絶」

クマ駆除・銃猟・追い込み・居場所特定・安全距離・射角管理

これらは一朝一夕で身につくものではない。

高齢化が進み、担い手が減り、技術継承が危うくなっているところに

政治が現場の士気を折った

このダメージは重い。

■ 結論

副議長の問題は、暴言でも態度でもない。

地域を命がけで守っている人たちへの敬意の欠如。

代替体制を作らないまま盾を壊したこと。

技術継承の危機にさらに追い打ちをかけたこと。

住民の命を守りたいなら、政治家がやるべきことはひとつ。

できる人を攻撃するのではなく

できる人を守る仕組みを作ること。

それができなかったという点において、

“無能”という評価は、残念だが妥当だ。

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